乳がん検診は妊娠中や授乳時に受診できるの?


乳がんは女性特有のがんです。しかし、乳がんになっても早期に発見し治療を開始すれば完治する病気になりました。
乳がんを克服するためにも、しっかり乳がん検診を受診して乳がんを早期発見することが何より大切です。
乳がんを早期発見するためには、やはり定期的な乳がん検診が欠かせませんが、女性の場合、妊娠中や授乳中だと乳がん検診はできるのかわからないという人も多くいます。
そこで今回は
・乳がん検診の内容が知りたい!
・乳がん検診は妊娠中でもできるの?
・乳がん検診は授乳中でも受けるべき?
といった方に、妊娠中や授乳している女性は乳がん検診を受けるべきなのか、また、乳がん検診はどのような内容で、どのような時期に行うのがより早期発見に繋がるのかについて、詳しくご紹介します。
この記事の目次

乳がんとは、乳房の中にある乳腺にできる悪性の腫瘍のことです。
乳がんは女性にとって非常に怖い病気ですが、その初期症状で痛みや違和感をあまり覚えないので、自分で乳がんに気づく人が少ないのが現状です。
よく自分で自分の胸を触って、乳房に硬いしこりや痛みがあって気がついたという人がいますが、自分で気が付いた時には既に乳がんの進行が進んでしまっていたということがあります。
乳がんでもいろいろなタイプがあり、乳がんが胸のどの辺りにできたがんなのか、ということによって症状が違いますので、乳がんになったからといって、しこりなど感じない人もいます。
代わりに、血の混じったような分泌液が乳頭から出てきたり、胸の皮膚が荒れたような、ただれたような状態になるという人もいます。
早期に発見すれば、乳がんを部分的に切除したり、乳房を切除したり、放射線で治療するという方法で完治できる病気ですが、乳がんが進行していくと、他の臓器やリンパ節に転移したりするので命の危険があります。
乳がんを完治させるためには、普段から自分が乳がんになるかもしれないという危険を感じて、胸を触診したり、専門の医療機関で定期的に検診を受けることが大切です。
乳がんは女性ならば誰でもなる可能性があるがんです。
しかし、女性の中でも統計的にがんになりやすいという人がいますので、該当する人は常に乳がんになっていないか確認する必要があります。
初産が30歳以上だった人、現在の年齢が40歳以上の人、身内に乳がんになった人がいる人、太り気味の人は、自分でも乳がんのリスクが高いという認識を持ちましょう。
乳がんを実際に発症する人の年齢は、35歳を過ぎた人が多いのですが、35歳未満でも若年性乳がんといって、若くても乳がんになる可能性があります。
中には10代~20代でも乳がんを発症する人がいます。○○歳だからまだ乳がんにはならないという考えの人がいますが、女性である以上乳がんになるリスクは全員にあると考えましょう。
気になる乳がん検診ですが、以下のような内容になります。
乳がんを見つけるために一番簡単な方法は、見て触って確認することです。
乳房専門の医師のいる医療機関では、視触診といって乳房にしこりがないか、形が変形していないか、陥没している箇所はないか、分泌液は出ていないか、脇の下辺りのリンパ節に腫れはないかということを確認します。
マンモグラフィーはX線検査です。マンモグラフィーは乳がんの初期症状である石灰化、腫瘍などを発見することが得意です。
乳房が大きい人や脂肪が多い人などは、超音波が胸の奥まで届かないのでマンモグラフィーの方が乳がん発見に長けています。
X線検査ですので、レントゲンを撮る時のように機械に胸をきつく押さえつけて撮影します。
両方の乳房を左右、上下方向からそれぞれ撮影するのが一般的です。
マンモグラフィーは放射線での撮影ですので、妊婦さんなどは被爆が心配という人がいますが、一枚の撮影で浴び放射線の量は、飛行機で東京、ニューヨーク間を行くときに浴びる自然界にある放射線(宇宙線)の量とほぼ同じです。
若い女性や乳腺の密度が高い女性は、マンモグラフィーでは乳腺が真っ白に写ってしまう場合があるので、初期の乳がんを発見し難い状況になります。
このような場合は、超音波検査を併用して乳がん検診する方が、より正確な検査ができます。
超音波検査は、人間の耳では分からない超音波を臓器に当てて、跳ね返ってくる反射の様子を映像で見ることができる検査です。
超音波の機械を胸から脇辺りにあてて、隅々まで画像診断できる方法です。超音波検査では視触診では見つけることのできない数ミリ単位の乳がんを発見できます。
超音波検査は、妊婦さんには特に有害とされる放射線の被爆を避けて乳がん検診ができるので、妊娠中の女性には非常に適した検査です。
また、マンモグラフィーの撮影のように押さえつけられる痛みに耐えられないという人も向いており、乳腺の密度が高い人にも向いています。
体への負担がないという点で優れた乳がん検査方法であるといえます。

妊娠したから乳がん検診を受けるということはありませんが、乳がん検診を定期的に受けていて、次の定期健診の時期が妊娠中である場合などは、担当医と相談してから乳がん検診を受診することは可能です。
乳がんになる可能性が高くなるのは35歳以上の女性で、10~20代になる若年性の乳がんは一般的には低いと考えられますが、可能性はないわけではありません。
年齢的な問題や定期健診の時期などを考慮して、妊娠中でも乳がん検診を受けた方が良いと判断した場合は受けるようにしましょう。
妊娠中だからといって乳がん検診ができないということはありません。
妊娠中でも乳がん検診を受けることができます。ただし、妊娠によって乳腺が発達していくため、確実な検査は難しくなります。
妊娠したら乳がん検診を受けることができないというイメージが色濃くあるのは、乳がん検査の内容によっては、妊娠中には避けた方が良い方法があるからです。
乳がん検診には、視触診、マンモグラフィー(X線撮影)、超音波検査(エコー検査)がありますが、妊娠中は放射線を被爆することになるので、マンモグラフィー(X線撮影)での乳がん検査はできません。
マンモグラフィーでの乳がん検診ができなくても、視触診検査や超音波検査(エコー)での乳がん検診は通常通りできます。
超音波検査などは、妊娠中の妊婦検診でもほぼ毎回行う検査ですので安全上の問題はありません。
妊娠中だから乳がん検診をしなければいけない、してはいけない、ということはありませんが、自分の年齢を考えて、定期的な乳がん検診をしている人で、妊娠中にたまたま乳がん検診の時期が来たときは、通常通り乳がん検診を受けるようにしましょう。
妊娠していることを申し出れば、妊娠中の人にふさわしくないマンモグラフィー(X線検査)を避けて乳がん検診をしてくれます。
妊娠していても、自分で行う胸の触診は1ヶ月に一度は行うようにしましょう。
20代~30代の人は乳がんになる確率はゼロではありませんが、可能性が低いこともあり、触診したり、違和感がなければ検査を急いで受ける必要なないかもしれません。
しかし、40代以上の妊婦さんの場合は、1ヶ月に1回の自分での触診に加え、妊娠中でもできれば毎年決まった時期に乳がん検査を受けた方が良いです。
産婦人科の担当医に乳がん検診を受診することについて相談してみましょう。
妊娠中は乳腺の発達で痛みを感じたり、違和感を覚えることも普段よりも多いのですが、おかしいと感じたら担当医に相談して検査することが大切です。
妊娠初期から後期にかけても、超音波検査での乳がん検診はいつでも可能です。検査をせずに不安になるのなら検査をして安心することが大切です。
妊娠中にもかかわらず、乳がんが発見されたらどうなるのでしょうか。
これは乳がんの進行や種類にもよりますが、早期発見で治療ができる場合は、現代医学においては、乳がんの治療を行いながら、赤ちゃんを出産することも充分可能なので、悲観しないようにしましょう。
昔は妊娠中に乳がんが発見された場合は、母体の治療を優先するために中絶をするのが一派的でしたが、乳がんを発症した体内で退胎児が育っても、その胎児に乳がんが遺伝することはありませんし、乳がんの進行を早めることもありません。
まずは、出産まで乳がんの進行の様子を見ながら出産し、出産後本格的な治療を始めるというパターンが多くなっています。
妊娠中のがん治療も可能ですが、妊娠週数によってできる治療や赤ちゃんへのリスクが考慮されます。
出産した後の授乳中は乳がん検診は可能なのでしょうか?これは、医師によって判断が分かれます。
出産することによって、マンモグラフィー検査の時の放射線被爆もそれほど深刻ではなくなっていますが、マンモグラフィーでも超音波検査(エコー)でも、授乳中は検査しづらく、検査しても乳腺が非常に発達しているので、正確な診断ができないこともあります。
授乳中は乳房が大きくなり、マンモグラフィーのように上下、左右から乳房を押し付けて撮影すると母乳が出てきたりするので、検査がやり難い状況があります。
ですから、授乳中の女性は積極的に乳がん検査を受けたいと思う人は少ないのが現状です。
専門の医師も特に違和感があったり、しこりが気にならなければ、授乳中は無理に乳がん検診をしなくてよいとする人もいれば、授乳中でも定期的に乳がん検診をしなければいけないと考える人もいます。
授乳中に乳がん検診を受ける、受けないというのは個人差があると考えておきましょう。
授乳中でも乳房に違和感があったり、しこりを発見したり、母乳に混ざって血液のような分泌液が出るというのは気になる症状ですので、しっかり乳がん検診を受けるようにしましょう。
その際、現在授乳中であるということを申し出れば、授乳中であることを考慮して検査を行ってもらうこともできます。
40代以上の人は授乳中でも定期健診の時期に当たっている場合は、検査を受けた方が安心できるかもしれません。
授乳中は、女性の乳房ではさまざまなトラブルが発生します。
授乳中は乳腺が発達することもあり、乳がんでなくてもしこりが発見されることもありますので、しこりがあるからといって乳がんであると決め付けずに専門医に相談しましょう。
特に、乳腺の中での母乳が詰まってしまったときや、乳腺炎を起こした時は乳房に違和感があり、しこりができることも良くあります。
しこりができている場合で、痛みがなければ普段どおりに赤ちゃんに授乳します。
母乳が乳腺に詰まった場合は、授乳をすることで詰まりが取れて、あっという間いしこりがなくなることも良くあります。
乳腺に母乳が詰まって炎症を起こすと乳腺炎になります。乳腺炎になるとしこりができたり、乳房が硬くなったり、痛みが出たり、発熱したりします。
乳腺炎が酷くなると、なかなか自分では対応できなくなるので母乳外来に行ったり、産婦人科などで相談してみましょう。
乳がんと乳腺炎は直接の原因はないとされていますが、痛みがないのにしこりに違和感があるときはできるだけ早く専門医を受診しましょう。
授乳中に乳がんが発見された場合は、授乳を中断し、乳がんの治療を優先させます。
母乳育児を希望するママには残念ですが、乳がんの治療のために断乳します。現在は母乳のように優れた人口ミルクなどが多数ありますので、まずは自分の乳がん治療に専念しましょう。
授乳中の場合の乳がん治療は、授乳を断乳した後は、他の乳がん患者と同じような治療が可能になります。
外科的な手術や放射線治療、薬物治療などが一般的です。
乳がんであることを知らずに、赤ちゃんに授乳をしていた場合、赤ちゃんにがんが移るのではないか、悪影響があるのではないかと心配するママも多いですが、乳がんを患った乳房からでた母乳を飲んでも、赤ちゃんに悪影響がないことが科学的にも検証されていますので安心してください。

乳がんは、早期発見ができれば現代医療において、しっかり完治する病となりました。
妊娠中や授乳中というのは、女性にとって特別な時期ではありますが、特に40代以上の女性は乳がんになる確率が高くなりますので、乳がん検診の時期が妊娠中や授乳中であっても、乳がん検診を行った方が良いとされる場合があります。
妊娠中は放射線被爆の危険があるマンモグラフィー検査はできませんが、他の乳がん検査はできますので、専門医に相談して検査を行いましょう。
授乳中は検査がし難いということもあるので、気になることがなければ授乳時期が終わってから検査を受けることをすすめる専門医もいます。
乳がんを発見するためにも毎月1回は自分で自分の胸の様子を見たり、触診してチェックすることが大切です。